2012年4月18日水曜日

Live Coverage Of 2005 Pro Tour Los Angeles : Event Coverage : Daily MTG : Magic: The Gathering



 
  • Sunday, October 30: 2:15 pm - "準々決勝:藤田 剛史(大阪) vs. Antoine Ruel(フランス)"

    by Kenji Suzuki

  • 三人の日本人が準々決勝へと臨む。

    いよいよベスト8の戦い。この週末ずっとプロツアー会場の話題の的になっていたデッキである"Boros Deck Wins"を操る藤田は、フランスのAntoine Ruelと対決することとなった。Antoineのデッキはサイカトグ。

    試合前、藤田は「無理!」と苦笑い。サイド後の《暗黒破/Darkblast》を筆頭とした除去軍団が相当厳しいらしい。果たしてその逆境をはねのけて勝ち進んでいけるか。

    Game 1

    ダイスロールでAntoineが先攻。

    「Very, very, very important.」

     Antoineにっこり。一方で悔しい顔を浮かべる藤田。1本目は取りたい所なだけに苦しいところである。しかし藤田の初手ハンドはかなり良い感じ。「先手が取れれば絶対もらったのになーコレ」とこぼす藤田。

    藤田はいつも通りフェッチランドからギルド土地を出して17点スタート。そこからまずは《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》を場に送り出す。2ターン目も同じパターンで土地を持ってきた後、《ゴブリンの軍団兵/Goblin Legionnaire》を出すが、これは《燻し/Smother》で除去される。

    藤田の土地はこの2枚で止まっているのだが、そんなことはお構いなしとばかり《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》とどんどんクリーチャーを並べながらビートダウンしていく。《稲妻のらせん/Lightning Helix》を本体に打ったところでもうAntoineのライフは5。Antoineは《サバンナ・ライオン》を除去した後に《サイカトグ/Psychatog》を置いてなんとか対処しようとするが、残っている2体のクリーチャーに攻撃された後、再び《稲妻のらせん》がAntoineを襲い、1戦目は藤田がまさにビートダウンの本領を発揮して勝利をものにした。

    藤田 1-0 Antoine

    Game 2

    藤田のサイドボードはこうである。

    out:土地3枚(白伝説、赤伝説、山)、《略奪/Pillage》×4
    in:《巣立つドラゴン/Fledgling Dragon》×3、《粛清/Purge》×4

    相当思い切ったサイドボードだが(4マナのカードを3枚サイドインするのに、残っている土地はたったの18枚!)、試合前の藤田曰く「どうせ土地引いたら負けなんやからこれくらいしないとアカン」とのこと。

    先手Antoineはマリガン。藤田はやはり《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》からの幸先良いスタート。そして次のターンには《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》を出すが、これは《マナ漏出/Mana Leak》される。続いて《炎の稲妻/Firebolt》を本体に。

    《今田家の猟犬、勇丸》は続くターンで《恐ろしい死/Ghastly Demise》され、続いて出した《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》も除去される。藤田はさらに後続の《今田家の猟犬、勇丸》を出すが、それも《恐ろしい死/Ghastly Demise》、《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》は《対抗呪文/Counterspell》と、1戦目とは打って変わって藤田が繰り出すクリーチャーに次々と対処していくAntoine。なかなか藤田の場でクリーチャーが生き残ってくれない。それでも何とかと藤田は直接火力や《溶鉄の雨/Molten Rain》などを駆使してAntoineのライフを6まで削っていく。しかしクリーチャーが場にいないのはなんとも辛い。

    ルーエル兄、ことAntoine

    と、ここでAntoineの《強迫/Duress》で《粛清/Purge》が藤田の手札から落ちる。これには藤田もちょっと驚いた顔。藤田の手札を確認したAntoineは、いよいよ満を持して《サイカトグ/Psychatog》御大を場に登場させる。墓地はかなり増えているが、まだ一気に藤田のライフを削り切るには足りないようだ。

    《溶岩の投げ矢/Lava Dart》と《炎の稲妻/Firebolt》を打ってAntonieのライフが3になったところで、Antoineが《嘘か真か/Fact or Fiction》。墓地の枚数を数えながら悩んだ上に2-3に分ける藤田。

    しかし3枚のカードを手に入れたAntoineは、サイカトグで18点ある藤田のライフをちょうど削りきってしまった。

    藤田「《強迫/Duress》かー…」

    確かに、サイカトグを確実に除去できるカードを落とされてしまったのはかなり痛かった。

    藤田 1-1 Antoine

    Game 3

    藤田の初手は土地4枚、《炎の稲妻/Firebolt》、《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》、そして《ゴブリンの軍団兵/Goblin Legionnaire》。藤田はこれをキープする。藤田の初動は2ターン目にその《ゴブリンの軍団兵》。Antoineは今までのゲーム同様、《留意/Mental Note》で墓地を増やしていく。藤田の3ターン目は《戦争の報い、禍汰奇》だがこれは《対抗呪文/Counterspell》。

    まだまだとばかり藤田は《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》を置きながら《炎の稲妻》を本体に。Antoineは《ゴブリンの軍団兵/Goblin Legionnaire》の方を《燻し/Smother》で除去した後、返しのターンで《サイカトグ/Psychatog》を登場させる。

    藤田はこれで殴れなくなってしまったが、《溶鉄の雨/Molten Rain》でAntoineの土地を壊しながら、《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》を登場させ、必至の攻勢。

    Antoineは《サイカトグ》でアタック。墓地と手札の枚数を数えて計算する藤田。土地を4枚立てながらAntoineはニヤニヤと笑いを浮かべている。何か手札にあるぞと言わんばかりだ。結局藤田は《サバンナ・ライオン》でこれをチャンプブロック。

    藤田 剛史

    返しの藤田のターンエンドでAntoineが《嘘か真か/Fact or Fiction》。《対抗呪文/Counterspell》、《暗黒破/Darkblast》、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》、《留意/Mental Note》、《強迫/Duress》というかなりの豪華メンバーが並ぶ。藤田は悩んだ末に《対抗呪文》とそれ以外に分割。ちなみにこの時点でAntoineのライフは6まで減っている。

    それを見てAntoineも墓地の枚数を数えながらしばし悩む。そして4枚の方を手に。《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》でAntoineのライフは4まで減るが、しかし結局Antoineのライフを藤田が削りきる前に、巨大《サイカトグ/Psychatog》が藤田を蹂躙していった。

    藤田 1-2 Antoine

    Game 4

    後が無くなった藤田。しかしここで藤田はマリガン。ますます辛くなってきた。マリガン後の手札は土地が1枚しかないが、これを藤田はキープ。《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》からのスタートである。なんとか2ターン目で山をトップしてきた藤田だが、クリーチャーが続かず、《炎の稲妻/Firebolt》を本体に打ち込んでゴー。

    《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》は《恐ろしい死/Ghastly Demise》で除去されるが、続く3ターン目に藤田は《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》をトップ。しかし返しでAntoineは《サイカトグ/Psychatog》。

    これで殴りに行けなくなった藤田。さらに次のターンには2体目の《サイカトグ/Psychatog》が登場してしまい、藤田の顔が曇る。

    なんとか起死回生で4枚目の土地をゲットした藤田はサイドインした《巣立つドラゴン/Fledgling Dragon》を出そうとするが、これをAntoineは《魔力の乱れ/Force Spike》。この時点でかなり藤田は「ダメだー」という顔に。

    結局そこからAntoineが《嘘か真か/Fact or Fiction》をキャストし、サイカトグ2体で攻撃したところで藤田が投了。藤田のプロツアー・ロサンゼルスはここで終わりを告げることとなってしまった。

    Antoine Ruel 3-1 藤田 剛史

    やはりデッキ相性の悪さはいかんともしがたかったということか?

    しかし、"Boros Deck Wins"が今回のプロツアーの主役の一つだったことは間違いないだろう。是非とも引き続き活躍してくれることを期待したいところである。

    Antoine Ruel – Psychatog

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8



    Tsuyoshi Fujita – Boros Deck Wins

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8


     

  • Sunday, October 30: 3:53 pm - "準々決勝:有田 隆一(東京) vs. 津村 健志(広島)"

    by Keita Mori

  • コロンバスに続いてエクステンデッドで大活躍の有田 隆一

    「この試合はたぶんレッドゾーンいらないよね」

    三度目のプロツアーサンデーを迎える二人の強豪は笑いながらこう語った。

    たしかに、"Scepter Chant"でゲームのコントロールを掌握することを目的とする有田のメインボードにはクリーチャーがいないし、おそらく津村の"Dredge-a-Tog"も《サイカトグ/Psychatog》の一撃で試合を決めてしまうようなデッキだ。クリーチャー同士の「攻防」はなかなか起こらないだろう。

    さて、プロツアーの決勝ラウンドから日本人同士による対決をお届けする前に、二人の強豪の簡単なプロフィールをご紹介しておこうか。

    有田 隆一(東京)は今季2度目のプロツアーベスト8進出を果たしたことになるプレイヤーで、これはコロンバスに続いてのエクステンデッド・プロツアーでの連続入賞だ。使用するデッキは鍛冶 友浩(埼玉)と斉藤 友晴(東京)が共同開発した"Scepter Chant"デッキで、このデッキは使用者6人全員が初日突破を果たしており、しかも有田をベスト8に送り込むという快挙を見せている。


    医師たちのゲーム

    ただ、有田にとってプロツアーサンデーというのは苦しい戦いの連続でもある。はじめてチーム"S.A.I"としてシアトルで戦ったときが0-2での初戦敗退、コロンバスで無限ライフデッキ"Loop Junktion"を使用していたときも準々決勝でNick Westの"Scepter Chant"に0-3で敗北してしまっている。

    有田 「今回のマッチアップも相当にエグイで。相性的にはまた0-3で負ける可能性も十分にある感じやからね」

    一方の津村 健志(広島)はこの2005プロツアーシーズンだけで3度目となる決勝ラウンド進出を果たしたところで、今大会は石田 格(東京)がデザインした「発掘」システムいりの《サイカトグ/Psychatog》である"Dredge-a-Tog"をプレイしている。

    津村が石田のデッキを使用して津村がプロツアーサンデーに勝ち残るのは2回目のことで、やはりプロツアー・フィラデルフィアで"Kobito Deck Wins"を使っての準優勝が思い出されるところだ。

    さらに、津村は今大会の活躍でプロプレイヤーレベルが6に昇格することが確定しており、Olivier Ruel(フランス)やJulien Nuijten(オランダ)と肩をならべることになった。

    津村 「優勝をめざして頑張りたいと思います。有田さんとの試合はマッチアップ的には分があるので、ミスをしないことを第一に心がけます」

    Game 1

    青いマッチアップ。序盤は当然のように淡々と土地を並べあう静かな立ち上がりとなり、《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》や《汚染された三角州/Polluted Delta》といったフェッチランドの起動によって、お互いのライフが少しずつ削れて行く。

    有田は《火+氷/Fire+Ice》や《知識の渇望/Thirst for Knowledge》、さらに《嘘か真か/Fact or Fiction》といったカードでライブラリーを掘り進んでいき、津村はそれにカウンターを使うでもなく、とにかく淡々と土地を置いていく。

    そして、有田は8マナを確保したところで、とうとう《等時の王笏/Isochron Scepter》をプレイ。津村はこれにレスポンスして《狡猾な願い/Cunning Wish》を唱えて「ウィッシュボード」から《酸化/Oxidize》を手にする。そして、この"Stick"こと《等時の王笏》は解決され、《火+氷/Fire+Ice》が刻印される。

    もちろん、このアーティファクトの最初の起動に対して津村は《酸化》を使用し、有田の《対抗呪文/Counterspell》を《対抗呪文》で返して、《王笏》破壊に成功した。

    次に動くのは津村で、9マナのバックアップとともに《サイカトグ/Psychatog》をプレイ。これが通って、津村は静かにアタックを開始する。最初のダメージは墓地を4枚食べて3点。

    有田も《狡猾な願い/Cunning Wish》からの《嘘か真か/Fact or Fiction》で次なる一手を模索。有田はここで2枚の《等時の王笏》と《嘘か真か》、《知識の渇望》、土地という内容の5枚のカードをめくり、後者3枚を手にすることとなった。さっそくそこから《知識の渇望》をプレイして、さらに手札を充実させる。

    そうこうするうちに、気がつけば有田が12マナ、津村が10マナ。ライフは有田が13点で、津村が12点。ここで津村は有田の墓地の中味を確認してから《サイカトグ》でアタック。墓地のフェッチランド2枚をコストにしてパンプアップし、2点のダメージを与える。有田は残り11。

    有田は津村のターン終了ステップに《嘘か真か/Fact or Fiction》をプレイして、津村はこれを2つの山に分ける。《神の怒り/Wrath of God》とカウンター呪文という山と、《神の怒り/Wrath of God》と土地2枚という山。有田は後者を獲得して即座にプレイし、盤面は静寂を取り戻す。

    津村の続く《サイカトグ/Psychatog》2匹目も有田がカウンターすることに成功し、ここにきてまた土地ばかりが静かに伸びていく展開が訪れたのだった。

    次なるアクションを起こしたのは津村で、《破滅的な行為/Pernicious Deed》のプレイ。この段階で有田の残りライブラリーは4枚、津村は25枚。有田はこれを通す。

    津村は《サイカトグ/Psychatog》3匹目を召喚し、有田はここで《禁制/Prohibit》キッカー。ここで津村はめずらしく長考に入り、最終的に《対抗呪文/Counterspell》を使用。しかし、有田の次なる《対抗呪文》がこのカウンター合戦に勝利する。

    そして、とうとう有田はライブラリーの最後の一枚をドローすることとなり、《オアリムの詠唱/Orim's Chant》を使用。最後にして最大のアクションを起こしにかかった。

    有田 「カウンターされるかはともかく、ストーム数えていきますね」

    有田には残り13マナと手札6枚。津村には12マナと手札7枚。そして、この《オアリムの詠唱》を…津村は通す。というか、手札にいわゆる確定カウンターがない。

    ここからは有田の見せ場だ。なんせ津村はサンドバッグ状態。

    《オアリムの詠唱》3回、《火/Fire》、《狡猾な願い》で《狡猾な願い》、そして、その2発目の《願い》で「ウィッシュボード」から持ってくるのは当然…

    《思考停止/Brain Freeze》!

    かくて、津村に残されていた21枚のライブラリーは…一瞬にしてゼロになった。

    有田 隆一 1-0 津村 健志

    Game 2

    やはり土地を並べあう静かな立ち上がりの中、先手第4ターンに津村の《強迫/Duress》が襲い掛かり、ダブルマリガンスタートの有田の《嘘か真か/Fact or Fiction》を墓地へ落とす。

    これを受けて有田は公開情報となった《賛美されし天使/Exalted Angel》を裏向きで送り出し、これを津村は《化膿/Putrefy》。津村はマナを少し伸ばしてからエンドステップに《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をプレイし、有田はこれを《マナ漏出/Mana Leak》でカウンター。そして、返すターンのメインステップに《サイカトグ/Psychatog》を津村が場に通した。

    そこから、有田の《嘘か真か/Fact or Fiction》が《堂々巡り/Circular Logic》されることになり、津村は《サイカトグ/Psychatog》でアタックを開始。さらに津村は《破滅的な行為/Pernicious Deed》をテーブル上の緑色のフィールドに追加した。

    駄目押しとばかりに津村は有田の《神の怒り/Wrath of God》をカウンターし、まもなくこのエイトグは超大なサイズとなって、対戦相手を蹂躙した。

    津村 健志 1-1 有田 隆一

    津村 健志は暫定ながらシーズンMVP争いの首位にたっている

    Game 3

    ここにきて有田は痛恨の先手トリプルマリガン。最後は4枚のハンドを「見ないでキープ」してゲームを始めた。苦笑いするしかない。

    それでも、2ターン連続でのセットランドから《火+氷/Fire+Ice》でキャントリップし、3枚目の《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》に到達。ただ、そこからプレイした《知識の渇望/Thirst for Knowledge》は津村の《マナ漏出/Mana Leak》に阻まれてしまう。

    一方で、津村は5マナを展開してから《破滅的な行為/Pernicious Deed》を置き、有田は「…ひどい」と愚痴る。続く有田の《オアリムの詠唱/Orim's Chant》を津村は《対抗呪文/Counterspell》し、有田は《知識の渇望/Thirst for Knowledge》を通す。

    津村はここで《壌土からの生命/Life from the Loam》を使用しはじめ、マナをさらに順調に伸ばしながら墓地を肥やしはじめた。対する有田はサイドボードから投入した2/1アタッカーである《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》を出してみたりする。

    だが、津村はそこに《サイカトグ/Psychatog》を…

    有田 「ほんま、マジックさせてよ、もう…」

    有田、投了。

    津村 健志 2-1 有田 隆一

    Game 4

    《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》をサイドボードにさげ、有田は試合の流れを変えたいところだった。今度は不本意なマリガンはなし。

    しかし、最初にアクションを起こせたのは、やはり勢いに勝る津村だった。字面通りの悪辣なる黒魔法、《強迫/Duress》の詠唱。ここで有田も《禁制/Prohibit》で応じるが、津村はここにグサリと《魔力の乱れ/Force Spike》が刺さる。この《強迫》で《神の怒り/Wrath of God》《狡猾な願い/Cunning Wish》《金属モックス/Chrome Mox》2枚の《マナ漏出/Mana Leak》という有田の手の内が明らかにされ、《マナ漏出》の1枚が墓地に送られた。

    Dredge-a-Tog"が"Scepter Chant"を破る結末となった

    そして、《狡猾な願い》を《マナ漏出》でカウンターさせておいて、津村 健志は《サイカトグ/Psychatog》を通した。

    さらに悪いことに、有田は土地が2マナでストップしてしまう。悪いことは重なるもので、なんとか置いた《金属モックス/Chrome Mox》も《酸化/Oxidize》で破壊されてしまい、一方の津村は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をプレイしてライブラリーから《壌土からの生命/Life from the Loam》とフェッチランド、2枚サイクリングランドをならべる。有田の表情は曇る一方だ。

    それでも、有田は《壌土からの生命/Life from the Loam》を《禁制/Prohibit》してみたりするのだが、津村はここで《マナ漏出/Mana Leak》。そしてエイトグでアタックを開始する。

    有田は4マナに到達できない。初手から眠っている《神の怒り/Wrath of God》が撃てない。

    有田 「マジックさせてくれよー」

    津村 健志 3-1 有田 隆一

    津村 健志、準決勝進出!

    Kenji Tsumura – Dredgatog

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8



    Ryuichi Arita - Scepter Chant

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8


     

  • Sunday, October 30: 6:39 pm - "準決勝:津村 健志(広島) vs. Antoine Ruel(フランス)"

    by Kenji Suzuki


    プレイステーション3は、初日に販売されますどのように多くの
  • 日本人対決を制した津村 健志(広島)と、藤田を倒して上がってきたAntoine Ruel(フランス)との戦い。デッキは両者とも《サイカトグ/Psychatog》だが、津村は石田 格(東京)謹製《壌土からの生命/Life from the Loam》発掘タイプ。一方のAntoineは青黒の昔懐かしい形のデッキである。

    Game 1

    先手はAntoine。序盤に《雲の宮殿、朧宮/Oboro, Palace in the Clouds》が対消滅してAntonineがちょっとイヤな顔をするが、そのAntoineがまずは4ターン目に《サイカトグ/Psychatog》で動き出す。対する津村の手札にはカウンター呪文は無い。

    津村はそのサイカトグに《最後の喘ぎ/Last Gasp》。少しでも墓地と手札を減らし、そして自分も《サイカトグ》を置きにかかるが、これはAntoineに《燻し/Smother》されてしまう。

    4マナで止まっている津村が《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をキャストするが、これは《堂々巡り/Circular Logic》されてしまう。しかし次のターン、再び津村が《けちな贈り物》。《化膿/Putrefy》《破滅的な行為/Pernicious Deed》《サイカトグ/Psychatog》《燻し/Smother》の4枚を選び出し、《サイカトグ》と《破滅的な行為》が手札の中に。続く自分のターンで津村はその《破滅的な行為》を場に送り込む。そのエンドにAntoineは《知識の渇望/Thirst for Knowledge》。ここは少し悩んだ津村だが、フェッチランド経由のギルド土地とダメージランドを使って、合計4ダメージを受けながらも《対抗呪文/Counterspell》でこれを阻止する。

    しかしこれでタップアウトになってしまった津村。すでにライフは9まで減ってしまっており、Antoineが手札にある《綿密な分析/Deep Analysis》を見せたところで、津村は投了せざるを得なかった。

    Antoine 1-0 津村

    Game 2

    津村のサイドボード:
    in:《強迫/Duress》×3、《サーボの命令/Tsabo's Decree》、《堂々巡り/Circular Logic》、《クローサ流再利用/Krosan Reclamation》

    out:《暗黒破/Darkblast》、《最後の喘ぎ/Last Gasp》×2、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》、《酸化/Oxidize》

    2ターン目にAntoineが《強迫/Duress》で動き出すが、これは津村が《マナ漏出/Mana Leak》。そして津村の《サイカトグ/Psychatog》を、Antoineが《魔力の乱れ/Force Spike》。まずは序盤の攻防。

    と、ここでAntoineの土地が3枚で止まる。

    しかし一方の津村は逆に土地は並ぶものの、手札には《サーボの命令/Tsabo's Decree》《狡猾な願い/Cunning Wish》《対抗呪文/Counterspell》、《壌土からの生命/Life from the Loam》といった感じで、それにつけ込んで攻めに行くというわけにもなかなかいかない。

    そのうちにAntoineが4枚目の土地を手に入れる。《堂々巡り/Circular Logic》、土地と相変わらず受け身なドローが続く津村。

    ここでAntoineが《知識の渇望/Thirst for Knowledge》。カウンターしようか悩む津村だが、結局これを通す。メインで5枚目のギルド土地をアンタップで置いたAntoineは、まず津村に《強迫》。

    ここでまた津村はカウンターするかどうかを悩むが、これも結局スルー。津村の手札が明らかになった。そしてカウンター呪文である《堂々巡り/Circular Logic》が墓地に落ち、その後Antoineはサイカトグを送り出す。津村はそれに対応して《狡猾な願い》から《魔力の乱れ/Force Spike》を使い、Antoineをタップアウトさせる作戦をとる。

    返しで津村は《サーボの命令》。Antoineの手札もここで明らかになった。《対抗呪文》《堂々巡り》《魔力の乱れ》《嘘か真か》、そして土地。

    なんとか《サイカトグ》を引いてきたいAntoineは《嘘か真か/Fact or Fiction》を打つ。土地4枚と《強迫》がめくれ、《強迫》が手の中に。

    津村のエンドにAntoineが《隠れ石/Stalking Stones》をクリーチャー化したところで、《けちな贈り物/Gifts Ungiven(CHK)》をトップしていた津村がこれをキャスト。Antoineは思わずイヤな顔。選んだのはサイクリング土地3枚とフェッチランド1枚。サイクリング土地とフェッチランドが1枚ずつ津村の手の中に。《壌土からの生命/Life from the Loam》&サイクリング土地というエンジンの稼働を目指す。

    しかし1回目の《壌土からの生命》は《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》からの《堂々巡り》でカウンターされてしまう。この時点で津村の手札は土地ばかりの苦しい状況。

    返しで《隠れ石》で殴った後、ついに《サイカトグ》を投入するAntoine。津村の《壌土からの生命/Life from the Loam》はまたもや《対抗呪文》でカウンターされてしまい、万事休すとなった。

    Antoine 2-0 津村

    Game 3

    津村のサイドボード:

    in:《魔力の乱れ/Force Spike》

    out:《クローサ流再利用/Krosan Reclamation》

    後がなくなってしまった津村。初手のハンドは土地1枚でマリガン、ますます逆境かと思いきや、Antoineもマリガンでおつきあい。

    しばらく土地を並べあう流れの後、Antoineが《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で動くが、これは津村が《魔力の乱れ/Force Spike》で的確にカウンターしていく。

    4枚目の土地を置いた後、Antoineは《強迫/Duress》。津村が持っていたカウンター呪文の1つ、《マナ漏出/Mana Leak》が墓地に落ちる。返しで津村が《破滅的な行為/Pernicious Deed》をキャストするが、それはAntoineが《対抗呪文/Counterspell》。

    しかし次のターン再び津村が《破滅的な行為》。Antoineはそのエンドで《占骨術/Skeletal Scrying》をフルタップでキャストするが、津村が2枚目の《魔力の乱れ》をトップデッキしており、これはカウンターされる。

    さらに津村は《嘘か真か/Fact or Fiction》も《堂々巡り/Circular Logic》でカウンターし、Antoineの動きを何とか阻止。Antoineはカウンターが無くなったところを見計らって《サイカトグ/Psychatog》を登場させるが、津村の場には《破滅的な行為》が残っている。

    サイカトグが1点づつ何回か殴った後に、再びAntoineが《強迫/Duress》。《狡猾な願い/Cunning Wish》2枚、《サイカトグ》から《狡猾な願い》が墓地に落ちる。もう1枚の《狡猾な願い》を津村がエンドで使用するが、これをAntoineは《堂々巡り/Circular Logic》。津村もなかなか思い通りには動かせてもらえない。

    それでも《破滅的な行為》がある津村はじっとドローゴーしながらしばらく堪え忍ぶ。その間には手札には着々とカウンター呪文がたまっていくが、直接サイカトグに対処できるカードはまだ引けていない。津村自身の手札にも《サイカトグ》があるが、《破滅的な行為》が場に出ている以上、自分も出すというわけにはいかない。その間にもAntoineは1点ずつ、静かに津村のライフを削っていく。Antoineの手札も着実に増えていく。

    しばらくして、ついにAntoineが《破滅的な行為》に《ブーメラン/Boomerang》で動く。それに対応して《破滅的な行為》が起動され、Antoineの《サイカトグ》は墓地へ。そして三度Antoineの《強迫》が津村を襲う。《サイカトグ》《魔力の乱れ》《堂々巡り》《狡猾な願い》《マナ漏出》から《狡猾な願い》が落ち、そしてAntoineが2体目の《サイカトグ》を試みる。しかしこれは確認済みの《マナ漏出》によってカウンターされる。

    返しで津村はついに自分の場に《サイカトグ》を登場させる。Antoineはこれにメインで《燻し/Smother》。津村も《堂々巡り/Circular Logic》で抵抗するが、《対抗呪文/Counterspell》で結局《サイカトグ》はすぐに墓地へ。

    自分のターンになって津村は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》。《壌土からの生命/Life from the Loam》と土地3枚(サイクリング土地2枚、島)で、島とサイクリング土地が手札に入る。その土地をサイクリングして、《壌土からの生命》を発掘し、すぐにそれを使用。なんとかデッキのエンジンを動かしにかかる。

    しかしマナが無くなった津村を見て、次のターンAntoineは新たなる刺客である《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を登場させる。

    《壌土からの生命》とサイクリング土地、というサイクルを回しながら、なんとか手札を増やしていく津村。そして今度は津村が《強迫》。Antoineの持っていた《堂々巡り》と《綿密な分析/Deep Analysis》から《堂々巡り》が落ちる。

    しかし《曇り鏡のメロク》とその仲間たちでビートダウンを始めるAntoine。対処策を求めて津村は再びライブラリを掘り進んでいく。この時点でもう津村のデッキの半分以上は墓地に送られている。しかし結局何もせずににターンを渡したところで、Antoineが《隠れ石/Stalking Stones》をクリーチャーに。これを待ってましたとばかり、津村はここで《けちな贈り物》。

    悩んだ末に津村が選んだ4枚は《燻し/Smother》《化膿/Putrefy》《狡猾な願い/Cunning Wish》《強迫/Duress》。《狡猾な願い》と《強迫》が手札に入り、津村はその《狡猾な願い》で持ってきた《恐ろしい死/Ghastly Demise》で何とかメロクを除去することに成功する。しかし津村のライフはもう6である。

    ここでだいぶ薄くなってきた津村のライブラリをAntoineが確認したあと、石とメロクの仲間2体が攻撃。津村のライフはこれで1。

    続く自分のターンで墓地の内容とライブラリの枚数を必至に確認する津村。そしてドローで《壌土からの生命》を発掘。この時点で津村のライブラリは9枚。《破滅的な行為》がまだ1枚ライブラリに残っており、それを引きさえすればまだ一矢報いることができる、とばかり、《壌土からの生命》から、サイクリング、サイクリング、サイクリング。これでライブラリは6枚。しかし結局最後まで対処策を得ることが出来なかった津村は残念ながらここで投了することとなってしまった。

    Antoine Ruel 3-0 津村 健志

    Kenji Tsumura – Dredgatog

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8



    Antoine Ruel – Psychatog

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8


     


    インディ·ジョーンズの文字はどのですか?
  • Sunday, October 30: 7:20 pm - "決勝:Antoine Ruel(フランス) vs. Billy Moreno(アメリカ)"

    by Keita Mori

  • Ruel兄弟、Antoine(手前)とOlivier(奥

    世界を旅するフランスのルエル・ブラザーズから、今回は兄のAntoine Ruelが栄冠に挑戦することになった。彼らは兄弟揃ってマジック・インビテーショナル(オールスターゲーム)に選出されるようなスタープレイヤーだ。

    兄Antoineにとってこれは3回目となるプロツアー決勝ラウンドであり、弟のOlivierにもこれまでに4度のプロツアー・サンデーの経験がある。そして、AntoineとOlivierはどちらもプロツアー級のイベントでは優勝の経験が無い。もっとも、兄弟揃ってプロツアー準優勝の経験があるというだけでも実にたいしたものだが、ともかく、これは彼らにとって文字通りの悲願となるタイトルを賭けての一戦なのだ。

    一方の対戦相手、ワイルドな髭が印象的なBilly Moreno(アメリカ)は...ある意味で今をときめく全米注目の人である。Live Webcastをご覧になった方は準決勝での「放送事故」をご存知かもしれない。

    しかし、間違いなく言えることは、

    藤田 剛史 「デッキは一流の強さ。強いデッキを持ってきたプレイヤーが勝つというのは構築戦では納得がいくこと」

    ということだ。

    同時に、彼がスレッショルドを満たしていないのに《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》を起動して「本来引けないはずのカードを引いて」しまったことは重大な違反であり、テーブルジャッジもゲームをストップするべきであった。

    テレビカメラによってどのカードを引いてしまったかが確認できたため、厳重注意でことは済んだが、どのカードを引いたかが確認できない場合は「不当に余計なカードを引いた」ことを巻き戻せないため、これは本来(たとえば予選ラウンドなら)ゲームロスに相当するような違反行為である。

    何にせよ、大観衆の見守るテレビマッチというシチュエーションがどれだけ重いものか、プレッシャーたるやいかなるものか、それは実際に体験したことの無い人間がどうこう言うべきことではない。

    Antoine Ruel 「僕たちはとにかくゲームを闘うだけ。雑音はいらない。勝ったほうがチャンピオンだ」

    Game 1

    先手を取ったのが"Madness-Tog"のMoreno。後手のオーソドックスな《サイカトグ/Psychatog》のRuelもマリガンはない。そう、2匹の醜いヒキガエルもどきが、栄光のプロツアータイトルを巡って争う決勝戦となったのだ。

    先手のMorenoはフェッチランド《汚染された三角州/Polluted Delta》からギルドランド《湿った墓/Watery Grave》という、今大会お馴染みの「ペイ3ライフ」スタートから《入念な研究/Careful Study》を詠唱。ここで《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla》はマッドネスで場に出され、さらにフラッシュバックもちの《綿密な分析/Deep Analysis》が墓地に置かれた。

    第2ターンの《アクアミーバ/Aquamoeba》は《魔力の乱れ/Force Spike》されるも、順調な立ち上がりである。Antoineは次の《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》も《対抗呪文/Counterspell》で退け、さらに《留意/Mental Note》で墓地を肥やしながらキャントリップした。

    さて、Morenoは《綿密な分析/Deep Analysis》フラッシュバックでライブラリーを掘り、そこへAntoineは邪悪なる《サイカトグ/Psychatog》を。Morenoも4マナで《綿密な分析/Deep Analysis》とライブラリーを掘る。

    ここで、墓地と手札とをエネルギーとする《サイカトグ/Psychatog》デッキにおいては《樫の力/Might of Oaks》にもたとえられる《嘘か真か/Fact or Fiction》をAntoineが詠唱し、ハンド墓地を肥やす。Morenoは《サイカトグ/Psychatog》をチャンプブロックせざるを得ない展開になるが、すぐにこちらも《サイカトグ/Psychatog》を引き当てて召喚し、さらに《綿密な分析/Deep Analysis》をフラッシュバックしてターンを返した。

    Antoineは《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で手札を肥やし、場には2体目の《サイカトグ》をタップアウトで召喚する。Morenoも2体目、3体目の《サイカトグ》で応戦だ。ライフは14対10。

    しかし、膠着は一瞬にして破られる。

    すなわち。Antoine Ruelは《不可思議/Wonder》をディスカードして自陣のエイトグたちに飛行能力を与え、鮮やかな一閃で緒戦を飾った。

    Antoine Ruel 1-0 Billy Moreno

    RuelとMorenoが栄光のプロツアーチャンプを賭けて闘う

    Game 2

    先手ノーランドゆえにマリガンとなるMoreno。6枚のハンドから《汚染された三角州/Polluted Delta》を置いてスタートし、Ruelのエンドステップに起動して《湿った墓》をタップインさせた。そして2ターン目に《野生の雑種犬/Wild Mongrel》を召喚するが、グサリと《魔力の乱れ》を突き刺すAntoine。続く二匹目も《対抗呪文》だ!

    しかし、Morenoは次なる《入念な研究》では《不可思議》を埋め、マッドネスで《尊大なワーム/Arrogant Wurm》を呼び出すことに成功。レスポンスでの《留意/Mental Note》と《選択/Opt》で《魔力の乱れ/Force Spike》を探すRuelだが、二枚目はかなわなかった。

    そんなわけで4点のダメージクロックが仕掛けられ、さらに《サイカトグ》が戦線に追加されることとなった。対するAntoineは《嘘か真か》で解決策を模索するが、これを無情なる《堂々巡り/Circular Logic》が阻む。

    しかし、Ruelは《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を呼び出し、Morenoは《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》を起動してライブラリーをまさぐる。空飛ぶエイトグとワームがRuelに襲い掛かり、《日を浴びるルートワラ》マッドネスやらをコストにしてのパンプアップもあって、Antoineの残りライフが9点まで削り落とされる。

    Ruelはここで《サイカトグ》を召喚。

    Moreno 「そっちに《不可思議》いたっけ?」

    と、対戦相手の墓地をながめながら、《堂々巡り》。これをAntoineはダメージランドを使用しての《対抗呪文》で退け(残りライフ8)る。しかし、Morenoのライブラリーの最上段は《燻し/Smother》だった。さらばサイカトグ。

    Antoineはやむなくダメージランドを起動しながらメロクでトークンを呼び、トークンで敵軍のエイトグを、メロクでルートワラをブロック。ワームの4点が通り、残りライフが3点。

    しかし、Antoineもここで《燻し》を使用して敵陣のエイトグを倒すことに成功。次のフルアタックではメロクから3体のトークンを呼んでの1/1軍団4匹でワームを相討ちに取り、メロクでルートワラを受け止めた。ここに来て、ようやっとAntoineが盤面を掌握しかかったかのように見える。

    Morenoが続く軍勢をもとめてタップアウトで《綿密な分析》を撃つと、Antoineは《セファリッドの円形競技場》起動からの《堂々巡り》。フラッシュバックを《マナ漏出/Mana Leak》。Morenoはなんとか《アクアミーバ/Aquamoeba》だけは通して望みをつなぐ。ライフを確認しておくと、Antoineが3、Morenoは17だ。

    お互い、次なる一手を引き当てたい、というツモりあいの勝負となり、Morenoが三匹目の《野生の雑種犬/Wild Mongrel》というかたちで一歩先行する。しかし、《燻し/Smother》とトークン軍団の巧みなブロックとで、Moreno軍団は即座に壊滅。このあたり、百戦錬磨のAntoineの巧さが、とにかく黄金の輝きを見せた。

    そしてメロクはとうとう攻撃クリーチャーへと転じ、Morenoも挽回すべく《綿密な分析》をプレイしてみるのだが、Antoineも《嘘か真か》で即座に対抗する。

    Morenoは《陰謀団式療法/Cabal Therapy》でAntoineの《堂々巡り》を落とし、《アクアミーバ》を呼び出す。他方Antoineは《セファリッドの円形競技場》を起動。

    どうにもならんと思いつめたか、ライブラリーに期待をかけて《綿密な分析》をフラッシュバックしてMorenoはライフが5点に。

    ん、5点?

    Antoineのメロクは2体のトークンを呼び出し、《アクアミーバ》に《恐ろしい死/Ghastly Demise》。Morenoはこれを《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》からを出してマッドネス《堂々巡り/Circular Logic》でカウンターしようとするが、そこへ効果覿面の《魔力の乱れ/Force Spike》が。

    Antoine Ruel 2-0 Billy Moreno

    Antoine Ruel 「僕のデッキをけなしたRandy Buehlerのためにも勝ちたいところだよね! 《魔力の乱れ》は最高!」

    Game 3

    「17点」

    おなじみの一言からフェッチしてきた《湿った墓》で《入念な研究/Careful Study》スタートとなるMoreno。ここでは《金属モックス/Chrome Mox》と2枚目の《入念な研究/Careful Study》が落ちた。つまり、Morenoの初手にはマッドネスもフラッシュバック系スペルもなく、これはAntoineにとっては悪くないサインだった。

    さて。

    問題は先手Morenoの第2ターン目の挙動だ。

    はたして、ここでBillyことWilliam Morenoはタップアウトして手札の《野生の雑種犬/Wild Mongrel》をプレイしていいものだろうか? これまでの二試合で《魔力の乱れ/Force Spike》に悩まされてきたMorenoは、額に脂汗を浮かべながら考え抜いた。

    そして、ここでは《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で《対抗呪文/Counterspell》を指定する安全策を選択する。

    すると、にやりと笑うAntoine。ここで公開されたハンドには《対抗呪文/Counterspell》も《魔力の乱れ/Force Spike》もなかった。これこそが本当の、10000ドルの価値があるブラフというものかもしれない。間違いなく、Morenoは幻影に悩まされていた。

    Morenoは苦笑いを浮かべながらAntoineのハンドをメモし、フェッチランドから2枚目の《湿った墓》をタップインさせるのみとなる。

    そして、Morenoの次なる《入念な研究/Careful Study》を《マナ漏出/Mana Leak》したAntoine。ただ、Morenoが《燻し/Smother》を2枚目の《陰謀団式療法》で捨てさせた上でプレイしてきた《雑種犬》は通り、Antoineは《留意/Mental Note》でキャントリップした。


    Morenoは《壌土からの生命/Life from the Loam》からフェッチランドを回収し、Antoineは《嘘か真か》で《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を土地のおまけつきで獲得した。そして、神河世界最強と謳われた――おそらくは《変異種/Morphling》なきあとの青い5マナ域で最強の――このクリーチャーを続くターンにプレイした。ちなみに、Morenoがこの青い魔物を除去するには、サイドボードの《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》以外にはない。もちろん、Antoineも先刻承知だ

    《壌土からの生命》を「発掘」しながら未来を考えるMoreno。彼は《サイカトグ》を戦線に送り込む。これをカウンターしなかった、ないし、出来なかったAntoineだが、続くターンには迷わず2/4飛行クリーチャーでアタック宣言。その上で、場にはオールドスクールテイスト満開の《隠れ石/Stalking Stones》を置いた。

    Morenoは《壌土からの生命》から土地を回収し、サイカトグと雑種犬でアタック。1体のトークンがエイトグをその身で受け止め、雑種犬が少し巨大化して4点のダメージを与えた。ライフは8対12(Antoine vs. Moreno)だ。

    Antoine Ruel, Pro Tour Los Angeles 2005 Champion !!

    そして、Antoineはメロクからトークンを5体作り出し、全軍をレッドゾーンへと送り込んだ。これを受けてMorenoはフェッチランドを起動し(残り11)、《セファリッドの円形競技場》起動。《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla》を場には出せたが、ここで《不可思議/Wonder》は墓地に行かず、ブロックは不可能。残りライフ4点。

    Billy Morenoにとって最後のターンが訪れた。

    Morenoは《壌土からの生命/Life from the Loam》をプレイしてから、《セファリッドの円形競技場》を起動した。ようやっと《不可思議》をここで見つけることが出来たが、もはや今の彼に必要なのはもっと違うもの――いつ「それ」を切り出すかという決断――だった。

    まもなくMorenoは右手を目の前に差し出し、微笑みながら偉大なるライバルの栄光を讃えることになった。

    Antoine Ruel 3-0 Billy Moreno

    弟は人目をはばからずに号泣し、兄はにっこりと笑った。
    そして、ようやくRuel家にもプロツアーのトロフィーが飾られる。

    Antoine Ruel is the Pro Tour Los Angeles 2005 Champion !!

    Antoine Ruel – Psychatog

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8



    Billy Moreno –Madness 'Tog

    Pro Tour-Los Angeles 2005 Top 8


     

  • Sunday, October 30: 8:05 pm - "日本勢最終結果(入賞者一覧)"

    by Keita Mori

  • 「ルーエル兄」ことAntoine Ruel(フランス・兄)の優勝という結果によって閉幕したプロツアー・ロサンゼルス2005。このイベントで日本勢は3人のプレイヤーを決勝ラウンドに送り出しており、賞金圏内(ベスト64まで)にも15名ものプレイヤーを送り込んだ。イベント観戦記事の終わりに、遠くカリフォルニアの地で奮闘した彼らをご紹介しよう。

    Rank Player Name Country Deck Deck Designer Prize PPT 2005 total PPT
    3 津村 健志 広島 Dredge-a-Tog 石田 格 $15,000 16 72
    5 藤田 剛史 大阪 Boros Deck Wins 藤田 剛史 $9,500 12 58
    8 有田 隆一 東京 Scepter-Chant 鍛冶 友浩/斉藤 友晴 $6,500 12 35
    18 石田 格 神奈川 Dredge-a-Tog 石田 格 $2,750 7 37
    21 河村 旭浩 岐阜 Affinity 森 勝洋 $2,250 7 10
    25 大礒 正嗣 広島 Balance Ting 大礒 正嗣 $1,800 6 62
    26 小倉 陵 愛知 Dredge-a-Tog 石田 格 $1,700 6 20
    29  森 勝洋 東京 Scepter-Chant 鍛冶 友浩/斉藤 友晴 $1,400 6 38
    34 高橋 優太 東京 Scepter-Chant 鍛冶 友浩/斉藤 友晴 $1,150 5 7
    37 中村 修平 大阪 Boros Deck Wins 藤田 剛史 $1,000 5 54
    39 大澤 拓也 神奈川 Dredge-a-Tog 石田 格 $900 5 23
    42 岩井 剛士 徳島 Reanimate 花岡 俊史 $825 5 11
    43 長谷川 裕信 愛知 Goblins 長谷川 裕信 $800 5 5
    54 板東 潤一郎 茨城 Affinity 板東 潤一郎 $600 4 22
    56 尹 壽漢 東京 Scepter-Chant 鍛冶 友浩/斉藤 友晴 $580 4 7

    表の[PPT]という項目は獲得プロポイントのことで、[2005 total PPT]というのは今シーズン通算で彼らがどれだけのプロポイントを獲得しているかをあらわしている。

    やはり、見事なベスト4入賞を果たした津村 健志(広島)の72ptsという累計獲得プロポイントが一番に目を惹くだろう。このイベントの前まではシーズン暫定首位だったOlivier Ruel(フランス・弟)が今大会11位(獲得プロポイント8pts、今季トータル67pts)となったため、津村はこれで暫定首位を奪取して12月の世界選手権を迎えることになる。もちろん、世界を旅することで知られているRuel兄弟だけに、彼らは世界中のグランプリをサーキットして少しでも差を縮めにかかってくるはずだ。

    津村と同郷の大礒 正嗣(広島)も、初日終了時点では脚きりラインギリギリの92位だったのを、なんと最終順位25位というところまで追い上げ、見事に6点のプロポイントを獲得してシーズン累計62点とした。つまり、大礒もまた、シーズンMVPの有力候補として最終コーナーをまわったわけである。今や、若く強い二人の広島勢が「新しい日本」の象徴であることは間違いない。

    また、21位に入賞している河村 旭浩(岐阜)についても軽くご紹介しておきたい。彼は森 勝洋(東京)に提供された「親和」デッキで今大会を見事なマネーフィニッシュで終えている新鋭。そして、彼はなんと弱冠15歳という超のつく若手プレイヤーなのだ。ティーンエイジャーの飛躍的な成長の可能性を証明した津村の例があるわけだから、河村の今後の活躍も十分に期待できる話である。それにしても、津村 健志が1年ちょっと前では一介のPTQプレイヤーだったとは、今となっては信じがたい話だ。

    ともかく、新エクステンデッド・フォーマットの荒海に最初の航海図が用意されたことになった。一週間後に北九州で行われるグランプリでは、間違いなくロサンゼルスのメタゲームを参考にした数々のデッキが姿を見せてくれることになる。果たして、世界はどのような変化を見せるだろうか。実に興味深いところだ。

    それでは、また来週末に!



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